こんなに泣ける映画が他にあるのか「キッド」自分のための映画日記Part.4
映画というのは不思議なもんで、映画館という暗闇の中で見ると、けっこう目頭が熱くなってしまったり、不覚にも目が霞んでしまったりしても、たとえば家でリラックスしながらDVDで見たりすると、意外にさらっと見ることができてしまったりする。そんな経験をしたことがある人はけっこういるんじゃないですか。
でも、この映画はちがいます。1921年公開ですから、けっこうリバイバルを見ているつもりだった私でも、この映画はビデオもしくはDVDでしか見たことがありません。でも、そんなことは全く関係ないんです。とにかく泣けます。文句なしに泣けます。
最初に出てくるチャップリンからのメッセージ
「ほほえましく、たぶん一粒の涙をそそる物語」
のメッセージどうりに。
ストーリーは単純明快。売れないオペラ歌手が赤ん坊を抱きながら、病院から出てくる。やがて彼女はお金持ちの家に止まっていた自動車に「この孤児をお願いします」と手紙を残し、赤ん坊を置いていってしまう。
その自動車は、その後すぐに、赤ん坊もろとも二人組の自動車泥棒に盗まれてしまい。彼女が後悔して戻ってきたときに、すでにその姿はなかった。自動車泥棒は、赤ん坊に気がつくと、道ばたに赤ん坊を捨てていってしまう。そこに通りかかった浮浪者(チャップリン)が赤ん坊を拾って…
そんな風にして浮浪者は赤ちゃんとの共同生活を始めるのですが、その姿がとても微笑ましく、そして二人でお金を稼ぎに行くシーンなんて、ユーモアたっぷり。この映画は無声映画なのですが、そこがかえって絶妙な味を引き出していますし、子役(ジャッキー・クーガン)と浮浪者の息がぴったりで、声がなくても伝わってくる二人の関係は、さすがに見事としか言いようがありません。
音楽の使い方もまた実に素晴らしい。チャップリンの作品の音楽は、彼自身が作曲する事が多かったそうですが、この作品でも冒頭の音楽など彼の作曲のようですね。でも、なんと言ってもクライマックスシーン。孤児院にキッドが連れて行かれそうになるシーンに流れる、チャイコの6番を思わせる曲が印象的でした。とにかくあのシーンにあれ以上あった曲はあり得ませんね。
私も詳しく調べたわけではないのですが、この作品は1971年のリバイバル時に、チャップリン自身が、音楽を付け加えているらしいですね。
また、この映画のモチーフはチャップリン自身の経験が、もとになっているといわれています。彼の幼少時代は、父親の死去、母親の精神病院入院。などとにかく恵まれたものとは言えなかったようです。この映画に出てくるダウンタウンも、実際彼が住んでいた場所をモチーフにしているのかもしれません。とすれば、ここで拾われるキッドは彼自身で、あるいは彼自身のささやかな願望が、この映画を作り出すきっかけになっているのかもしれません。
後半、眠り込んでしまったチャーリーが、夢を見るシーンがありますが、あれがまさに自己の夢を暗示しているのかもしれませんね。
でも、とにかくそんな能書きはどうでも良いのです。この映画を見てキッドとチャーリーの絆を感じれば、二人が引き離されてしまうシーンなどは本当に涙無くしてみることはできないのです。「二人が車上で抱き合ってキスをするシーン」は、まさに映画史に残る名シーンといえるのではないでしょうか。とにかく50分あまりの短い時間の中での中で、笑いあり、涙あり、そしてほろ苦さあり。名作です。










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